映画『関ヶ原』直江兼続の日本史上最大の作戦が失敗した訳!

映画『関ヶ原』では、直江兼続松山ケンイチ)の日本史上最大の作戦が失敗してしまうので、失敗した3つの原因について詳しく紹介しましょう。

関ヶ原』のキャスト

引用:https://www.amazon.co.jp/

日本の歴史映画『関ヶ原』は、2017年8月26日に日本で上映されました。DVDの収録時間は149分になります。

様々な役者さんが、歴史上の人物を演じていましたが、ミスキャストと言わざるを得ない方から、適役な方までいました。そこで、私が抱いた満足度と共に役者さんたちの演技について紹介します。

石田三成(演:岡田准一)満足度60%

岡田准一さんは大河ドラマ黒田官兵衛を演じた事がありますが、その演技とほとんど同じでした。それは冷静に喋りながら、感情的になった時は爆発的な怒りを見せるという演技でした。

黒田官兵衛というのは、意外と性格はあまり知られていないので、あまり違和感はなかったのですが、さすがに石田三成の時はそうはいきません。

石田三成はそれほど怒りを爆発させるようなイメージ像がないから、少し違和感を抱くような演技になっています。

徳川家康(演:役所広司)満足度40%

こんな事を言っても仕方ないのですが、役所広司さんでは徳川家康の顔だちと大きく異なるので、これだけでも「それはミスキャストではないか?」と思ってしまいました。

そして家康が太り気味になっている所を表すシーンでお腹を出す所がありましたが、お腹が太っているのに顔があまり太っていない所があったので、そこはしっかりと顔を太らせて欲しかったですね。

豊臣秀吉(演:滝藤賢一)満足度95%

滝藤賢一さんは、猿と侮られていた秀吉像を見事に表していて、まさにハマり役という感じでした。そして晩年の秀吉を見事に表していて、秀頼の事しか考えられなくなっていく哀れな姿が出ていて、良かったですね。

北政所(演:キムラ緑子)満足度15%

この映画で最もミスキャストだと思ったのが、キムラ緑子さんが演じる北政所でした。しかし、これはキムラ緑子さんが悪いという訳ではなくて、あまりにも脚色しすぎた所が響いています。

武士の妻なのに、公家のような姿になっていたり、良妻賢母というイメージが強いのに淀君に強く嫉妬している愚かな妻である事を強調しすぎているのです。これは少しいただけないなと思いましたね。

直江兼続(演:松山ケンイチ)満足度75%

松山ケンイチさんが、少し自信たっぷりに構える直江兼続を演じていましたが、少し武士という重みのある演技という訳でありませんでした。少し迫力に欠ける所はありましたが、今までにない直江兼続像を表していて、面白みがある演技でした。

初芽(演:有村架純)満足度60%

有村架純さんが、三成に淡い恋心を抱く忍を演じますが、関ヶ原というタイトルの映画で必要のある登場人物だったのかなと思いました。もう少し戦に焦点を当てて欲しかったです。そして有村架純さんの喋り方が少し棒読みの所が多かったです。

有村架純さんは可愛い女優さんで好きな方ですが、やはり時代劇はまだ慣れていなかったように見えます。そのため、これから時代劇を何回か出演するようになれば変わるかなと期待したいです。

島左近(演:平岳大)満足度100%

今回の映画で最もハマり役だと思ったのが、平岳大さんが演じる島左近でした。石田三成の片腕として、猛々しい武者を見事に熱演していて、この方がいなかったら、この映画の魅力は半減していたかもしれないという存在感でした。

小早川秀秋(演:東出昌大)満足度90%

東出昌大さんは背の高い方なので、今までの小早川秀秋のイメージとは異なる武士像でした。所が、小早川秀秋の未熟な性格を見事に表していて、この辺りは東出昌大さんの演技力のたまものと言う感じがしましたね。

関ヶ原』のストーリー

豊臣秀吉は、実子の秀頼を後継者にしたくて、それまで後継者にしていた秀次を処刑してしまいます。しかも、秀次の一族もろとも処刑してしまい、多くの大名の身内も処刑されてしまって、多くの敵を作る事になってしまいます。

しかも、朝鮮・明の連合軍との戦で、尾張派と近江派の間で対立が生じてしまい、豊富家は内部から崩壊寸前に陥っていました。このような状況で、豊臣秀吉は逝去していまい、石田三成は天下を維持するために、島左近を家臣に取り立てます。

徳川家康は、自分の命に従わない上杉景勝を討伐しようとしますが、石田三成上杉景勝の軍師である直江兼続と密かに、徳川家康を東西から挟み撃ちにしようと密談をしていました。

それは会津の上杉討伐に向かった徳川を背後から、攻めたてるもので、大阪と会津双方から攻撃をするという壮大な計画だったのです。本来であれば、上杉の追撃を恐れて、家康は会津から動けないと三成はタカをくくっていました。

しかし三成が挙兵した事を知った家康は、疾風迅雷しっぷうじんらいの速さで奥州から引き返して岐阜の大垣城近くまで到着したのです。徳川家康の巧みな戦術の前に、三成は関ヶ原で戦うしかないと決断します。

関ヶ原で宿命の決戦が始まったら、数では東軍を圧倒していたのに、何と!小早川秀秋は、徳川家康に寝返ってしまい、怒涛のごとく、西軍の大谷吉継の隊を急襲。

西軍は一気に総崩れとなります。三成は、正義が不義に負ける訳にはいかないと思っていたのに、ここで戦いは決しました。はたして、石田三成や豊臣は、この後どうなってしまうのでしょうか?

直江兼続の日本史上最大の作戦が失敗した訳』

直江兼続は、徳川家康を江戸から奥州の会津まで引きつけて、その間に石田三成が機内から江戸まで攻めて、徳川軍を挟み撃ちにしようとしました。

戦域が、奥州から畿内まで広がり、軍隊を縦横無尽に駒のように動かす作戦であり、その壮大な作戦は、まさに日本史上最大の作戦と言っても、過言ではないでしょう。

しかし、この作戦には大きな失敗が3つもありました。

  1. 徳川家康が疾風の速さで江戸へ撤退して、武断派の武将が尾張に結集
  2. 上杉景勝徳川家康を追撃しなかった所
  3. 石田三成が、わずか6時間で徳川家康に敗北した所

この中でも致命的だったのが、上杉景勝が追撃しなかった所ですね。まさにうつけとしか言いようがありません。

関ヶ原の合戦は、西軍(石田方)が約9万〜10万、東軍(徳川方)が約7〜8万と言われています。それに引き換え、応仁の乱では西軍(山名方)が約11万、東軍(細川方)が約16万でした。

規模で言えば、応仁乱のほうが大きいと言えますが、規模の大きい夜戦で言えば、かなり似ている戦いと言えます。

しかし、応仁の乱が11年も続いたのに、関ヶ原はわずか6時間で決着しまいました。これは徳川家康がいかに優れているか?よく分かる事例ですが、これも直江兼続の大きな誤算だったのでしょう。

このように、いくつもの誤算があり、直江兼続の作戦は失敗に終わった訳ですね。

関ヶ原』の豆知識

関ヶ原の合戦における石田三成に関連する豆知識をいくつか紹介するので、あまり石田三成を知らない方は、ご覧になってみて下さい。

石田三成徳川家康の違い

石田三成は正義を重んじる武将で理想主義な所がありますが、それに対して徳川家康は野心家であり合理主義者です。しかし戦国時代に野心を持つ事は特におかしな事ではなく、石田三成のほうが珍しい武将と言えるでしょう。

石田三成は勝ち方にこだわって徳川軍を急襲しないで関ヶ原で戦う事になりますが、徳川家康は勝つためなら手段を選ばない性格です。

そして石田三成がじっくりと指揮を取るのに対して、徳川家康の素早い行軍は、対照的な差がありました。ここまで対照的な大将同士が戦う合戦というのも珍しいでしょう(西軍の総大将は毛利ですが、実質の大将は石田三成という意味)。

石田三成の指揮

関ヶ原の合戦は、戦下手の石田三成が、無謀にも徳川家康に戦いを挑んだというのが、通説になっています。所が、戦が始まってみると、実際に動いている兵士の数は少なかったのに、徳川軍を相手に石田・島・大谷・宇喜多たちは善戦をしていたのです。

そして、いつまでも動こうとしない小早川秀秋に、業を煮やした徳川家康は鉄砲で催促する事になります。しかし、この行動は一歩間違えれば、小早川勢が徳川の陣を急襲する危険をはらんでいたので、どちらが勝ってもおかしくない戦だったのです。

戦果の乏しい鶴翼の陣 

戦下手と思われていた石田三成は、東軍を包み込むような鶴翼の陣を敷きます。この陣形は決して悪いものではありませんが、戦果の乏しいものでもあったのです。なぜなら川中島の合戦で、武田信玄は鶴翼の陣を敷きますが、弟の信繁や軍師の山本勘助を討ち死にさせてしまいます。

さらに三方ヶ原の戦いでも、徳川家康が鶴翼の陣を敷きますが、ここでも武田の猛攻の前に命からがら浜松の城へ撤退するのです。どの戦も兵の数で負けていたので、仕方ないと言えば、仕方ないのですが、あまり戦果を挙げられていない陣形なのです。

関ヶ原の合戦でも、実際に動いている兵士で言えば、西軍は圧倒的に少なかったので、石田三成が敗北したのは仕方のない所がありました。あえて言えば、正義にこだわりすぎた石田三成が、徳川家康の謀略の前に負けたという事なのでしょう。

関ヶ原』の感想

この映画『関ヶ原』は、歴史映画好きの私としては、ツッコミどころ満載の作品でした。そこで、どのような映画だったのか?私が見た感想を紹介するので参考にしてみて下さい。

関ヶ原のオススメ層

時代劇の映画なので、やはり歴史好きの方にオススメの作品になっています。しかし、石田三成と初芽(演:有村架純)の身分を超えた愛も芽生えていくシーンもあるので、恋愛映画が好きな方でも、ある程度は満足できる内容になっています。

  • 歴史好きの方:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
  • 若年層:⭐️⭐️⭐️⭐️
  • 中年層:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
  • シニア層:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
  • 男性層:⭐️⭐️⭐️⭐️
  • 女性層:⭐️⭐️⭐️

関ヶ原の残念な所

関ヶ原で、最も残念な所だったのは、タイトルで『関ヶ原』となっているのに、実際に関ヶ原の合戦のシーンは、わずか40分程度です。全体の時間が149分なので、わずか3分の1強の割合でしかありません。

そのため、予告で見た時には面白そうな映画だと思ったのですが、厳しい言葉になりますが、これは期待はずれだったなぁというのが本音でしたね。一番ひどかったのが、小早川勢が大谷に急襲するシーンが、ほぼカットされている所でした。

あの名場面をカットするなら、初芽にあれだけの時間を使うのは、納得できない所でしたね。

関ヶ原の見所

この映画では、島左近豊臣秀吉小早川秀秋など適役と思えるキャストがあったのは、大きな見所でした。そして、最近では関ヶ原だけを扱った作品が出ていなかったので、その辺りも良かったですね。

ただし、これであれば、1981年に放映されたテレビドラマ『関ヶ原』のほうが面白かったかなと思いました。そのため、次に関ヶ原を題材にした作品が出る時は、今回よりも合戦に力を入れて欲しいです。