映画『利休をたずねよ』では、千利休の娘おさん(演:成海璃子)が、韓流推しに翻弄される立場にあったので詳しく解説しましょう。
『利休にたずねよ』のキャスト
映画『利休にたずねよ』は、2013年12月7日に日本で上映されました(上映時間は約123分)。
監督&脚本
茶人の千利休を中心に描いた映画『利休にたずねよ』を制作したのが、田中光敏監督になります。
登場人物&役者
映画『利休にたずねよ』に登場する人物や役者さんたちは、以下の通りです。
- 千利休/茶人として駆け抜けた男(演:市川海老蔵)
- 宗恩/千利休の妻(演:中谷美紀)
- おさん/千利休の娘(演:成海璃子)
- 高麗の女性/高麗の派閥争いに巻き込まれた女性(演:クララ)
- 織田信長/第六天魔王として恐れられた大名(演:伊勢谷友介)
- 豊臣秀吉/信長の後継者にして天下人(演:大森南朋)
- 北政所/豊富秀吉の妻(演:檀れい)
- 石田三成/豊富秀吉の寵臣だが心の狭い人物(演:福士誠治)
- 細川忠興/千利休の良き理解者(演:袴田吉彦)
- 細川ガラシャ/細川忠興の妻(演:黒谷友香)
- 武野紹鴎/千利休の師匠(演:市川團十郎)
『利休にたずねよ』のストーリー
織田信長は多くの茶人たちを屋敷に招いていたら、若き利休(千宗易)がやってきて、みずぼらしい箱を持参してきたのです。多くの茶人は「そのような物を」とさげすんでしまいます。
しかし、織田信長は、利休が持参した物を見て、多くの銭を勢いよく落としていったので、秀吉は思わず箱の所へ駆け寄ります。そこには何と、箱の絵柄と、映し出された満月がピタリと一致していたのです。
利休は、信長のお茶頭(茶の師匠)を務めるようになって「美は私が決める事」と言い切ってしまうので、秀吉は『信長様の前で、そんな事を言い放つとは』と唖然としてしまいます。
しかし、織田信長が本能寺の変で命を落としたら、秀吉が天下人となり、千利休は秀吉に従うようになりました。
秀吉の家臣 石田三成は、千利休をいまいましい奴と敵視するようになり、豊臣政権の中にあって、千利休は次第に孤立するようになります。
やがて、秀吉は『千利休は自分にたてついておきながら、謝りもしないで小癪(こしゃく)な奴め』と思い、切腹を言い渡してしまうのです。
はたして、千利休という大事な茶人を切腹に追い込んで、豊臣政権はどうなってしまうのでしょうか?
『成海璃子が韓流の展開に翻弄』
ラストシーンが近づくにつれて、千利休は高麗からやってきた美人に恋い焦がれるようになっていく所が描かれていました。
それは妻子にひた隠していましたが、千利休が切腹した後に、妻の宗恩は、夫が高麗の美人の遺品を肌身離さず持っていた事を知り、憤慨してしまうのです。
千利休が、高麗の美人と親密な関係になったという話は聞いていなかったので、恐らく創作であり、韓流に乗ってしまったのでしょう。
そうなると、千利休の娘 おさん(演:成海璃子)は、韓流に翻弄される立場と言えるので、一歩間違えたら父親は高麗の女性のほうを取って、おさんはあまり愛されなかった可能性さえありました。
映画『利休にたずねよ』と他の作品を比較
今作のように、千利休を描いた映画があって、それが『利休』です。
利休は、今作よりも茶道に焦点を当てている上に、演技派俳優がズラリを集結しているので、今作のように見た目の美しい俳優よりもベテラン俳優が参加した作品と言えます。
少し古い作品ですが、ベテラン俳優が勢ぞろいした歴史映画が、どのような内容になっているのか?それを見てみるのも悪くはないでしょう。
『利休にたずねよ』の豆知識
謎の多い『利休にたずねよ』に関連する豆知識を紹介するので、良かったら、ご覧になってみて下さい。
『豊臣家の痛手となった4人の絶命』
豊臣秀吉が無くなったら、天下は徳川のものになります。なぜ、こうも簡単に徳川の天下になってしまったのか?それは豊臣家はかけがえのない4人を失ったからだと思います。その4人とは以下の者たちです。
豊臣秀長は、秀吉の弟にして、次第に頭が狂っていった秀吉に意見を言える数少ない人物でした。
そして大和大納言と慕われるほどの人物で、徳川家康からも警戒された人物です。千利休は、多くの文化人に慕われている事もあり「茶人に切腹を申付けるとは太閤も器の小さい事よ」と言われて、民心を失ってしまいました。
豊臣秀次は、秀吉の数少ない身内でしたが、秀次の血の繋がる者たちを次々に処刑します。これは豊臣の力をそぐ暴挙であり、豊臣秀次に娘を嫁がせた大名たちから怒りを買う事にもなりました。
前田利家は人望のある大大名で、近江派(石田三成たち)と尾張派(加藤清正たち)の争いを鎮められる男でした。もしも、前田利家が生きていたのなら、関ヶ原の合戦は起こらなかったでしょう。
『利休にたずねよ』の意味
利休について有名な言葉があって、それが『内々の儀は宗易(千利休)、公儀の事は宰相(秀長)』があります。
これは、千利休と豊臣秀長の二人が豊臣を支えていた事がよく分かる言葉です。中国の三国時代でも、孫策が『内政の事は張昭、外交の事は周瑜に尋ねよ』と言い残した言葉があります。
そのため、私はてっきり『利休にたずねよ』は、内々の儀を尋ねる内容なのか?と思ってしまいましたが違うようです。
これにはネット上でも多くの意見が飛び交っているようです。普通に考えたら、映画のタイトルの意味は、宗恩が「あなたが本当に愛していたのは誰なのですか?」と問いかける内容ではないでしょうか?
『利休にたずねよ』の感想
映画『利休にたずねよ』を見た感想を紹介するので、参考にしてみて下さい。
『利休にたずねよ』のオススメ層
若い俳優たちが出演しているので、歴史好きの方たちだけではなく、若年層の方たちにもオススメの映画ですね。
少し韓流を推してきたので『千利休と何の関係があるの?』と思ってしまう所はありますが、あの大河ドラマでさえ創作を押し出す時代なので、このぐらいは仕方ないかもしれませんね。
- 歴史好き:⭐️⭐️⭐️⭐️
- 茶道好き:⭐️⭐️⭐️⭐️
- 若年層:⭐️⭐️⭐️
- 中年層:⭐️⭐️⭐️⭐️
- シニア層:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
『利休にたずねよ』の残念な所
映画のタイトルから、多くの歴史ファンは、史実による内容を期待していたはずです。しかし、実際に見てみたら、利休が高麗の女性と駆け落ちする内容になっていて「ちょっと待てい!」と言いたい内容になっています。
これには『韓流のゴリ押しか?』という批判が集中して、映画は大コケしてしまったという評価が強くなっているのです。私としても、もう少し秀吉と利休の確執を中心に描いて欲しかったなというのが本音ですね。
秀吉の近い者たちが、利休に切腹させるべきか、止めるべきか?そこの衝突も描けたら、映画として十分完成度の高いものになっていたのに残念です。
『利休にたずねよ』の見所
史実を捻じ曲げた所はありますが、それでも千利休を描いた映画は少ないので、その辺りを考えたら、意味のある映画だったと思います。そして、市川親子が熱演しているのを知った時には、少し驚かされましたね。
さらに千利休は、天井に桜をしばりつけたり、鳥の影を壁に写し込むなど、仕掛けの多い所があって、見所の多い映画でした。
そして、織田信長役の伊勢谷友介さんはハマり役だったので、いつか織田信長の映画が制作される時には、是非とも再び織田信長役として演じて欲しいです。