ザヴァツキがヒトラーの正体に気づいた訳とは?映画『帰ってきたヒトラー』

映画『帰ってきたヒトラー』では、ヒトラーが現代にタイムスリップしても、周りの人間たちはソックリさんだと思うのに、なぜかザヴァツキだけがヒトラーの正体に気づくので、その要因について詳しく紹介しましょう。

映画『帰ってきたヒトラー』のキャスト

ドイツのブラック・コメディ映画『帰ってきたヒトラー』は、日本では2016年6月17日に上映されました。

監督&脚本&原作

  • 監督:ダーヴィト・ヴネント
  • 脚本:ダーヴィト・ヴネント&ミッツィ・マイヤー
  • 原作:ティムール・ヴェルメシュ

登場人物&俳優

映画『帰ってきたヒトラー』に登場した人物や俳優さんたちは、以下の通りです。

アドルフ・ヒトラー(演:オリヴァー・マスッチ)

冷酷非情な独裁者として有名ですが、民主主義のルールにのっとり独裁者になった事を知る日本人は意外と多くいません。この民主主義のルールを利用した独裁者が、再びドイツを激しく揺れ動かす事になります。

ファヴィアン・ザヴァツキ(演:ファヴィアン・ブッシュ)

TV局をクビにされたザヴァツキが、一発逆転を狙って臨んだのがアドルフ・ヒトラーそっくりな男を起用して番組を作る事でした。しかし、そのそっくりだと思っていた人物は実は本物であり、それがザヴァツキを不幸のどん底へ突き落とします。

ヴェラ・クレマイヤー(演:フランツィスカ・ウルフ)

TV局の女性社員で、ザヴァツキの意中の人です。クレマイヤーがヒトラーにインターネットの仕組みを教える事によって、ヒトラーは次々に現代の技術を吸収していく事になります。

カッチャ・ベリーニ(演:カッチャ・リーマン)

優秀な女性社員で、TV局の副局長に抜擢されます。しかし、その抜擢が思わぬ敵を作る事になるのです。

クリストフ・ゼンゼンブリンク(演:クリストフ・マリア・ヘルプスト)

副局長になったベリーニに敵意を燃やす人物。彼女を失脚させるために思いついたのがヒトラーを出演させる事による失敗を彼女になすりつける事でした。

映画『帰ってきたヒトラー』のストーリー

第二次世界大戦でイギリスを屈服させないうちに、ソ連へ攻撃をしかけた事によって、ドイツは亡国の道を歩みアドルフ・ヒトラーは自ら生涯の幕を閉じていきました。しかし、その彼がどういう訳か?現代のドイツへタイムスリップしたのです!

亡くなったはずのヒトラーが気付いた時には外で横たわって、体中には煙が立ち込めていました。ヒトラー新聞販売店の中で目を覚まし、現在が2014年である事を知らされます。

その頃、TV局からリストラされたザヴァツキは、職場に戻れるようにネタ探しをしていたらヒトラーにそっくりな人物がいると思って、ヒトラーを本人とは思わずに撮影する事によって、その動画をネタにTV局へ戻ろうと画策するのです。

ヒトラーを特集した動画は100万アクセスを記録したので、ザヴァツキはTV局へ復帰する事が出来て、意中の人であるクレマイヤーと再び談笑する事が出来て喜びます。

やがて、ヒトラーの演説はドイツ国民の心をつかんで、大きな話題を集めていく一方でした。しかし、TV局で働くクレマイヤーは、祖母がユダヤ人で、ヒトラーに迫害された事があったのです。

クレマイヤーの祖母は激しくヒトラーに詰め寄りますが、クレマイヤーはヒトラー本人じゃないと言います。

しかし、ザヴァツキはヒトラー本人ではないかと疑います。そしてザヴァツキがヒトラーが現れた所へ調べたら、そこは何と『総統地下壕施設跡』だったのです。

ザヴァツキはヒトラーが本人である事を確信して、屋上までヒトラーを連れ出して屋上から落とそうとしますが、ドイツの未来を守る事はできるのでしょうか?

『ザヴァツキがヒトラーの正体に気づいた訳』

クレマイヤーの祖母は、ユダヤ人でヒトラーから迫害を受けた事もあり『こいつは、ソックリさんではなくて、あの憎たらしいヒトラー本人だ』と思って、詰め寄ってしまいます。

そんな事もあり、ザヴァツキはヒトラーの事が気になり、詳しく調べていったら、ヒトラーが現れた場所が『総統地下壕施設跡』である事が分かります。

いくつかの事実が積み重なった事により、ザヴァツキはヒトラーが本人であると気づいたのでしょう。

帰ってきたヒトラー』と他の映画を比較

映画『ヒトラー 〜最後の12日間〜』でも、ヒトラーを取り上げていますが、この映画は史実をもとにして作り上げられたものであり、今作のようなコメディ映画ではありません。

身近な秘書が、ヒトラーの最後はどのようなものだったのか?それが描かれているので、ヒトラーについて詳しく知りたい方には、オススメしたい映画ですね。

映画『帰ってきたヒトラー』の感想

引用:https://www.amazon.co.jp/

帰ってきたヒトラー』を見た感想について、詳しく解説します。

映画『帰ってきたヒトラー』のオススメ層

ヒトラーがタイムスリップして、現代のドイツ国民の心を掴んでいく映画という事もあり、大きなセンセーショナルを巻き起こしていきました。

そのため、ヒトラーやドイツの歴史を詳しく知りたい方や、興味のある方は、一度でも見ておいて損はしないでしょう。

  • ドイツ好き:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
  • 歴史好き:⭐️⭐️⭐️⭐️
  • 若年層:⭐️⭐️⭐️⭐️
  • 中年層:⭐️⭐️⭐️⭐️
  • シニア層:⭐️⭐️⭐️

映画『帰ってきたヒトラー』の残念な所

この映画を見ていると、つくづくヒトラーは残念というか惜しい人物だったなと思ってしまいます。ヒトラーは冷酷非情な男でしたが、政治家としては優秀な人物でした。

大規模な公共投資をしていき、機材にあまりお金をかけず多くの労働者を動員する事により、最悪の失業率を劇的に改善しました。しかも、国民車フォルクスワーゲンを大衆化させて、福利厚生も充実させていき、ドイツ国民の生活は劇的に向上させます。

一気に国力が増大して、次々に周辺地域を併合して、一気にポーランド・北欧・フランスを侵略していき、イギリスを除く全ヨーロッパを手中に収めました。

もしも、ヒトラーユダヤ民族を差別したり虐殺したりしなくて、公平な政治をして、あくまでもドイツの国土の拡張だけに集中して、ソ連と戦わずにイギリスとは長期戦を覚悟していれば、ヨーロッパの歴史は大きく変わっていたでしょう。

そうなれば、今のようなEUではなくて、ドイツによる完全に統一されたヨーロッパ帝国が誕生して、アメリカ合衆国をしのぐ国が出来ていたかもしれません。

映画『帰ってきたヒトラー』の見所

この映画ではヒトラーのような人物が現代に現れたらどうなるのか?それをブラックコメディーとして問いかけているのが、この映画の最大の見所でしょう。

かつて第二次世界大戦前のドイツは大恐慌の影響を受けて、経済は壊滅的な打撃を受けて、失業率も高かったのです。

それをヒトラーは、ドイツ国民に激しく訴えかけて総統の地位にまで登りつめました(強引な手法や、多少の多数派工作も行いました)。

この映画でも、ヒトラーはドイツの問題点をついて支持されていきます。つまり民主主義の欠点がここにあるのではないでしょうか?民主主義は、国民の心を強く掴めば独裁者の登場を許す危険な側面があるという事を。

そして国家が危機にひんした時こそ、独裁者が国民の心をつかみやすい時でしょう。なぜなら、危機にひんした時こそ、大衆は強い指導者を求めるからです。

現在の日本はドイツ同様に様々な問題を抱えています。この映画はドイツだけでなく、日本も他人事ではない問題点をついていると言えるでしょう。