映画『とんび』では、市川美佐子(麻生久美子)が優しい母でしたが、その優しが、逆に息子(演:北村匠海)を苦しめるので、その理由を解説します。
映画『とんび』のキャスト
日本のドラマ映画『とんび』は、2022年4月8日に公開されました。
監督&脚本
登場人物&俳優
- 市川安男(演:阿部寛)根は悪くなくても喧嘩っ早い男性
- 市川美佐子(演:麻生久美子)市川安男の妻
- 市川旭(演:北村匠海)安男と美佐子の息子
- 由美(演:杏)市川旭の恋人
- 照雲(演:安田顕)寺の住職の息子であり、旭の良き理解者
- 幸恵(演:大島優子)照雲を支える女性
- 広沢(演:濱田岳)市川安男を慕う後輩社員
- 尾藤社長(演:宇梶剛士)市川安男とソリが合わず喧嘩をよくする男性
- たえ子(演:薬師丸ひろ子)居酒屋の女将
- 泰子(演:木竜麻生)たえ子に会いに来た女性
映画『とんび』のストーリー
市川安男は、若い頃から喧嘩ばかりしていましたが、情に熱い所もあり、周りから名物男として有名でした。そんな男には不釣り合いと言えるほどの美して優しい妻 美佐子がいましたが、赤ちゃんが生まれそうになってしまうのです。
市川安男は病院でうろたえてしまいますが、ついに元気な男の子が生まれて旭と名付ける事にして、知人たちは「トンビがタカを産んだ」を茶化してしまいます。
旭はすくすくと成長していきますが、休日に動物園へ遊びに行きたくて、ぐずってしまいますが、あいにくの雨でした。
市川安男は「仕方ないから、仕事してくるわ」と出かけようとすると、妻は「ねぇ、旭にあなたが働いている所を見せてあげても良いかな?」「あ、あぁ。いいよ」
会社へ到着して、市川安男が荷物を次々に運んでいくと、旭は「パパ、手ぬぐい」と渡そうとすると、手ぬぐいが木箱に引っかかってしまいました。旭は強引に手ぬぐいを引っこ抜こうとしたら、高く積み上げられた木箱が旭の所に落ちていったのです!
母の美佐子は急いで、旭を覆いかぶさるようにして、体を張って息子の盾となり、木箱の下敷きになってしまいました。旭を救う事はできても、美佐子は亡くなってしまいます。成長した旭は、その出来事を詳しく覚えていませんでした。
大きく成長した旭は「なんで、お母さんは死んじゃったの?」と聞くので、安男は「母さんは、この俺を助けるために、身代わりになってしまったんじゃ」と嘘をついてしまいます。
旭は、悲しそうな顔をしてしまいますが、それでも大人となり「由美と付き合う事にした」と彼女を紹介しますが、その彼女はバツイチで前の夫の子供が一人いたのです。
安男は素直に賛成できず、困り果ててしまいますが、どうなってしまうのでしょうか?
『市川美佐子(麻生久美子)の優しさが息子を苦しめた理由』
市川美佐子(麻生久美子)は、旭の不注意で木箱が落ちてきたので、息子を守るために命を落としてしまいました。
そのため、母親の死は、息子の責任とも言えますが、私は少し違うと思います。
市川美佐子は、小さい旭のために、父親が働いている所を見せてあげたいという優しさが、今回の事故を誘発してしまったと思えて仕方ならないのです。
その優しさは母親の気持ちとして、よく理解できますが、まだ小学生にもなっていない息子を父親の職場にいかせるのは、あまりよくなかったかなと思えてしまいました。
しかも、高い木箱が積み上げられている所で、息子が走っていくのに、最初近くにいてあげなかったのも、息子の好きにさせてやりたいという優しさでした。
母親の優しさが、自分の死を招いてしまって、逆に息子を苦しめる事になってしまうので、そこは色々と残念な事ですが、育児がいかに大変か?分かる内容ではありますね。
『とんび』と他の映画を比較
アメリカ合衆国では長年に渡って黒人を差別してきましたが、セシル・ゲインズ(演:フォレスト・ウィテカー)が黒人なのに、大統領の執事として働けるようになりました。
それまでの間に、母親は白人にレイプ されて、父親は白人に殺害されるという苦しみを味わっていたのです。
しかし、セシル・ゲインズに息子ができると、その息子は白人の大統領のもとで働こうとする父親に反発してしまいます。親子の間には亀裂が走ってしまいますが、少しずつ和解していき、親子の絆を感じさせる映画であり、とんびと通じるものがあります。
映画『とんび』のまとめ
とんびを見た感想について、詳しく解説します。
映画『とんび』のオススメ層
母親として息子を助けようとしたり、父親が男手一つで息子を育てようとしたりするので、親御さんには、ぜひ見て欲しい映画です。
この映画を見ていると、男手一つで育てながらも、周りの知り合いたちに助けられながら、息子を育てている所もあって、育児をする上で何かと助けになる映画ではないかなと思いました。
- 親御さん:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
- ファミリー層:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
- キッズ:⭐️⭐️⭐️⭐️
- 若年層:⭐️⭐️⭐️⭐️
- 中年層:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
- シニア層:⭐️⭐️⭐️⭐️
映画『とんび』の残念な所
市川安男は、息子を傷つけないために、最初「母さんは事故で死んだ」と言っておきながら、その嘘がバレそうになり、今度は「母さんは、自分をかばって死んだ」と嘘をついてしまいます。
嘘をつく人間は、嘘がバレないように、さらに嘘を重ねると言いますが、本当にそうだなぁと思ってしまいましたね。
この辺りは仕方ない所かなと思いますが、少し自分勝手な所があり、息子に八つ当たりする形になってしまうシーンもあって『それは父親として、大人として、どうなんだ?』と思ってしまいました。
旭が主役の映画でもあるので、何度もスクリーンで「あきら、あきら」と名前が呼ばれている時に、自分の名前も「あきら」なので『ちょっと、マジで辞めて』と苦笑いしてしまいましたね。
映画『とんび』の見所
麻生久美子さんが、旭を見守る表情が、本当に優しい母親像を演出していて、良かったですね。この優しが、のちの悲劇の伏線となってしまうので、かなり重要なポイントでした。
この映画が上映される前に、北村匠海さんは「日本は恋愛映画が多いんですけど、こうういう家族の映画は大事だと思うんです」みたいな事を言っていた時には『でも、恋愛映画や青春映画のほうが、心が動かされて良いんだけどなぁ』と思っていました。
しかし、実際に見てみると、退屈なファミリー映画ではなくて、親子の絆がいかに強くて難しいか?それが見事に演出されていて、良かったですね。
そういった所を考えると、やはり北村匠海さんの言葉は真理をついているなぁと思います。
阿部寛さんが、飲み物を吹き出して笑いを取る所があり、映画館では高齢者の人たちがウケて笑っていましたが、この臨場感も映画館の良い所かなと思いました。